世の中には努力で手に入るものと、手に入らないものがある。
豊かなバストを持つは女性は努力家だからそうなったのだろうか?
残念ながらそれは遺伝によるもので、努力はほとんど関係ない。だとすると、今、豊かでないバストの女性は努力をしても無駄ということだろうか。
そんなことはない。努力によってバストを豊にすることはできる。
もちろん、豊かであるとは単に大きいことを意味しない。形が良い、垂れてないなども重要。そして何より、自分が「これなら」と納得していることはとても大切だ。
ここでは筋トレを取り入れることで、納得のいくバストアップが可能であることをお伝えしたい。努力は無駄にはならないのだ。
バストアップにはランニングよりも断然筋トレ
まず最初に、何か運動をしようとしているならランニングではなく、筋トレを行うべき理由についてふれておこう。
バストアップに欠かせない「クーパー靭帯」
健康のため、またはスタイル維持のためにランニングを行う女性は多い。しかし、バストアップを目指すなら、今すぐランニングをやめるべきである。
女性の胸は、大胸筋という筋肉を土台とし、その上を母乳を作るための乳腺と、乳腺を取り囲む脂肪とによって形成される。そのままでは垂れてしまう乳房を釣り上げてくれているのがクーパー靭帯だ。
運動を取り入れるときに注意しなければならないのが、このクーパー靭帯の存在。走ったり、ジャンプしたりすると着地の瞬間に膝に衝撃が加わるのはご存知の通り。しかし、このとき、膝だけでなく乳房にも負担がかかり、大事なクーパー靭帯が危険にさらされる。
物体は一定の方向に進むとき、別の方向に力が加わるまで最初の方向に進み続ける。これを慣性という。ジャンプして落下するとき、体は下向きに進んでいる。それが地面に着地するやいなや下向きの力は強制的にストップさせられる。ところが、柔らかく弾力のある乳房は、着地後も下方向に移動を続けて、びよ~んと伸ばされてしまう。最大限に伸ばされると今度は、伸びたゴムが勢いよく縮むように、ぼよ~んと上向きに反発する。
そしてこの、びよ~ん、ぼよ~んの繰り返しによってクーパー靭帯が切れてしまうのである。ランニングとは、小さなジャンプと着地の繰り返し、つまり、クーパー靭帯を切るための動作に他ならない。スポーツブラは胸をホールドすることでクーパー靭帯のダメージをやわらげてくれるが、ゼロにはできないだろう。運動種目を選べるのなら、ランニングよりも筋トレを選ぶべきだ。
バストアップに欠かせない「胸の脂肪」
ランニングは体重を落としたいときには便利ではあるが、失うものもある。ダイエットをして、「胸から痩せた」という経験はないだろうか。
ランニングして胸が小さくなるのは偶然ではない。ランニングは有酸素運動に分類される。有酸素運動は、軽めの運動を長時間行うタイプの運動のこと。有酸素運動を行うと、脂肪が遊離脂肪酸となって血液中に溶け出し、筋肉はこれを消費することで長時間の運動が可能になる。ただし、この有酸素運動のエネルギー源は脂肪なので、やればやるほど脂肪が減っていく。
ウエストの脂肪だけが減ってくれるのなら大歓迎だが、そうはいかない。バストを形成する大切な脂肪も容赦なくエネルギー源として使われてしまう。
つまり、ランニングをするということは、胸の脂肪を小さくしながら、クーパー靭帯を切断する行為に等しい。今よりも小さく、今よりも垂れ下がった胸に変化してしまう可能性が高いのだ。
大胸筋の筋トレでバストアップできる理由
次に筋トレでバストアップできる理由について見てみよう。
筋トレによる土台づくりでバストアップ
形の良い乳房は、
- 土台となる大胸筋
- バストを形作る脂肪
- バストを釣り上げるクーパー靭帯
によって作られる。
この中で努力によってコントロールできるのは1の大胸筋のみ。
2と3はランニングなどの負担のかかる運動を避け、ストレスのない規則正しい生活によって減るのを防ぐことしかできない。
筋トレは、乳房の大きさやハリそのものである脂肪やクーパー靭帯を鍛えることはできない。しかし、乳房の土台部分をしっかり鍛えることができるので、垂れるのを予防し、筋肉が盛り上がった分だけバストを立派に見せてくれるだろう。
筋トレによる姿勢矯正でバストアップ
他人は案外、バストそのものを観察したりはしないものだ。それよりも、上半身の漠然とした印象によって、良さそうな胸、貧相な胸をイメージしていることが多い。このことは、乳房自体は変わらなくても、姿勢が良くなって堂々としているだけでも見え方が変わることを意味している。
筋トレを行うと胸を開く動作がでてくる。日常生活にはあまり出てこない胸を開く動作を繰り返し行うことで、姿勢が矯正される。また、胸を開くことができると肺がたくさんの空気によって満たされて膨らんだ状態になる。
胸は主に脂肪でできており、その下で大胸筋がこれを支えている。そして、大胸筋のさらに下では、肋骨と背骨が鳥かごのような形で肺や心臓を守っている。肋骨と背骨が形作る鳥かごのようなスペースを胸郭(きょうかく)というが、猫背のような悪い姿勢だと胸郭が小さく縮こまってしまう。
胸を開いて大きく空気を吸うことで肺が満たされ、胸郭が広がって、適正な形に保たれる。このような状態になると、たとえ胸の筋肉量や脂肪量は変わらなくても、立派に見える。厳密にいえばバストアップとは異なるが、あなたの上半身が他人に与える印象はがらりと変わるだろう。
筋トレを正しく行うと、たくさん空気を吸って胸郭を適正な形に保つのが上手になる。最初にトレーニング時の姿勢が変わり、次第に日常生活における姿勢にも良い影響を与えてくれるのだ。
筋トレでおっぱいが筋肉に変わってしまう心配は?
ここで、よくある疑問に答えておく必要があるだろう。
筋トレによってバストアップが可能なことは分かった。でも、筋トレをがんばりすぎて、「おっぱいが筋肉に変わる」心配はないだろうか?
このような質問をジムのトレーナーさんにすると笑われてしまうかもしれない。しかし、切実な問題なので、ここでは真剣に答えることにしたい。
おそらく、筋トレによっておっぱいが筋肉に変わる心配をする人は、マッチョをイメージしているのではないだろうか。確かに、マッチョたちの胸は筋肉が発達しているが、脂肪はなくムキムキだ。確かにあんな風になったら困る。
胸の筋肉を鍛える代表的な種目といえばベンチプレスだ。仰向けに寝て、バーベルを持ち上げる種目。ジムでこのベンチプレスをしている人たちを観察してみるといい。マッチョたちはさすがに力持ちで、重い重量でベンチプレスをしているだろう。しかし、一番ではない。最も重い重量でベンチプレスをしているのは、マッチョではなく、鍛えているデブである。この鍛えているデブたちは、見た目はマッチョのように筋肉質ではないものの、ものすごい力持ちでジムでは一目置かれる存在となっている。
そして、注目すべきは、鍛えているデブたちの胸はマッチョとは違い、適度な脂肪が乗ったおっぱいのようであること。彼らが女性としてこのトレーニングをしていたら、さぞ立派なバストだったに違いないと思わせてくれる。
マッチョと鍛えているデブの違いは何だろう? 答えは簡単だ。それは、減量をしているか、していないか。マッチョは見た目を気にしているので、余分な脂肪を落とすための減量を行う。脂肪が減ることで、皮の下にすぐ筋肉がある状態になり、あのムキムキ感が出る。一方、鍛えているデブは減量をしない。筋肉量は多いかもしれないが脂肪によって隠されているのでデブに見える。
つまり、筋トレをどれだけハードにやっても、それによっておっぱいが筋肉に変わることはない(鍛えているデブが証明しているように)。しかし、筋トレを行いながらハードな減量を行って脂肪を落とすと、ムキムキになる可能性はある。
ごくまれに、男の胸のようになった女性ボディビルダーがいるが、それはハードなトレーニングの影響というよりも、ハードな減量の影響 と考えた方がいい。バストアップのために筋トレを取り入れるとき、筋トレはどれだけハードにやっても問題ないが、減量には注意が必要だ。
大胸筋の筋トレでバストアップする方法
動画を見ながら、実際に筋トレを行ってバストアップを目指してみよう。
器具なしの筋トレでバストアップ
器具なしで自宅でも簡単にできるエクササイズから見ていこう。これまで運動習慣がなかった人には新鮮な刺激になるはず。また、これからよりハードに筋トレをするための準備にもGOOD。
乳房の土台となる大胸筋を、可動域全体を使って大きく動かせるというメリットがあり、また、大胸筋に負荷を与え、ある程度発達させることもできる。特に、胸をしっかり開く動作は、日常生活ではあまり出てこないので練習しておきたい。
エクササイズ1
胸を開いて大胸筋を伸ばし、胸を閉じることで大胸筋を収縮させる。この動作を行うことで肩甲骨は自然に内転、外転という動きをする。肘の動きを意識するとやりやすい。
エクササイズ2
エクササイズ1の応用版。両肘を前で合わせることによって、大胸筋が最大限に収縮するポジションをとる。
エクササイズ3
胸の前で合掌して、両手をくっつけるように強く力を入れる。大胸筋を収縮させて負荷を与えるアイソメトリック種目。
エクササイズ4
エクササイズ3の応用版。両手を合わせた後、両肘を合わせることで大胸筋が最大限に収縮するポジションをとる。
器具ありの筋トレでバストアップ
乳房の土台となる大胸筋と、気になる二の腕(三頭筋)を鍛えられる本格的な筋トレ。ここではスーパーセット、トライセットという手法がとられている。スーパーセットとは2つの種目を休みなく連続的に行うことで、より多様で強い刺激を筋肉に与えることができる方法のこと。トライセットとは3つの種目を連続的に行う方法のこと。
ダンベルフライ 1.片手ずつ交互→2.両手同時(スーパーセット)
大胸筋をストレッチ→収縮させる種目。上のエクササイズ1と同様の軌道で動作するが、ダンベルを持つことで強い負荷をかけることができる。肘を伸ばしたまま動作することで、大胸筋に負荷を集中できる。ただし、肘関節を守るために肘関節はある程度自然に曲がるものなので、無理やり伸ばさないこと。
バーベルプレス 1.手幅広・上から握る→2.手幅狭・下から握る(スーパーセット)
バーベルを上げ下げすることで大胸筋と二の腕(三頭筋)を鍛えられる。上の種目と異なり肘の曲げ伸ばしが入る。手幅を広くすると胸に、手幅を狭くすると二の腕に効きやすい。バーを下から握ると手幅を狭くしても動作しやすく、また、若干だが大胸筋の上部の負荷が強まる。
トライセッププレス 1.手幅広・上から握る→2.手幅狭・下から握る(スーパーセット)
肘を曲げ伸ばしすることで二の腕(三頭筋)を鍛える種目。上から握るのが一般的だが、下から握ることで刺激を変えることができる。上から握る場合は外側頭という強い筋肉が主に働き、下から握ると内側頭が使われやすくなる。
インクラインダンベルプレス 1.手幅広→2.手幅狭→3.トライセップディップス(トライセット)
背もたれに角度をつけて行うダンベルプレス。このように角度をつけると大胸筋の上部に負荷が集中し、手幅を狭くすると二の腕(三頭筋)に負荷が集中する。最後のトライセップディップスは二の腕(三頭筋)の種目。足を台の上に乗せて行うのが難しければ、足を床に置いたままでも十分に鍛えられる。
まとめ
ダイエット目的ならランニングも悪くはないが、バストのことを考えるとおすすめできない。
筋トレなら、乳房の土台となる大胸筋を鍛え、胸郭を広げ、姿勢を矯正することで、他の人があなたの上半身から受ける印象をより良いものにしてくれるだろう。
大胸筋のトレーニングでは、日常生活にはあまり出てこない胸を開く動作が重要になる。また、二の腕(三頭筋)をいっしょに鍛えられる種目が多い。二の腕のたるみも気になるボディパートなので大胸筋とセットで鍛えれば一石二鳥だ。
最後に付け加えると、筋トレによっておっぱいが筋肉に変わってしまう心配はしなくても大丈夫。ただし、ボディビルダーレベルのハードな減量を行うとムキムキになることはある。つまり、バストに関して筋トレのデメリットはほとんどないが、脂肪が減少するダイエットには注意が必要だということ。